何故を5回繰り返しても本質は見えないよ

何故を5回

若い頃仕事上でトラブルがあり、その時の上司に「原因や本質の追求には結果から「何故こうなった?」を5回繰り返すと良い。それで本質が見えてくる事がある」と言われたことがあります。当時は5段階くらい深掘りすれば真の原因が見えてくるのか、程度にしか思っていませんでしたが、私はどうもこの上司の言葉を勘違いしていた様です。

原因を知るには何故を5回繰り返せ!

当時の上司から言われたこの言葉、結果から真の原因を探る時に有効な手段だとして若い頃の私が心に刻んでいた言葉の一つでもあります。

何故そうなった?

→(理由が)Aだったから

では何故Aなのか?

→(Aの理由が)Bだから

では何故(略

というのを5回くらい繰り返すと本質の原因に辿り着くという物でした。

トラブルが起きた時に何故?を5回くらい繰り返すと、確かに原因や本質に辿り着くことも有ったのですが、辿りついてみた原因が本来の原因と全然違った、という事も何度もあり、いつしか私はこの様なツールを使う事をやめてしまったのです。

たまにトラブルがあった時に辛うじて「昔の上司がこんな事言ってたな」なんて思い出す位で、後輩にも部下にもこの上司の言葉を便利なツールとして伝える事もありませんでした。

しかし今思い返してみると赤面物ですが、私はこの上司の言葉を勘違いして受け取っていたのです。

私が勘違いして受け取っていた事

私の上司は

「原因や本質の追求には結果から「何故こうなった?」を5回繰り返すと良い。それで本質が見えてくる事がある」

と私に言いました。

頭の悪い私は

ニート君
ニート君

何故を5回繰り返せば原因に辿り着けるのか

と受け取り、隠れている大事なメッセージを見逃していたのです。

この言葉は単純に5回繰り返して本質原因に辿り着くワークなどではなく、もっと深い意味が込められていました。

上司の言葉を勘違いしていた部分として、「見えてくる事がある」を「見える」という風に捉えてしまっていたのです。

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「何故?を5回繰り返す」は本質原因追求に使う物ではない

それから20年以上が経ち、思考に関する本などを読み漁っていた時期に

ニート君
ニート君

自分の頭の中を紙に書いて整理してみよう

と思い、何でもいいので昔あった感情の起伏を伴うような出来事を一つピックアップして、紙の上に「何故そう思った?」「何故このような結果になった?」を繰り返してマインドマップの様に書いていきました。

書いている途中、「あ、これ昔上司が5回繰り返せと言ったのに似ているな」と感じたのですが、そこで重要な二つの事実に気づきました。

ニート君
ニート君

あれ?これ原因追求になってなくね?

ニート君
ニート君

これって思考の偏りを表した物じゃね?

そうです。この何故を5回繰り返すことで得られたのは「自分の思考バイアスを見つける」というものであったのです。

もしかしたら上司は私の思考の偏りを見抜いていて、その偏りを自分で見つけて修正しないといけない、という事を裏のメッセージとして伝えていてくれたのかもしれません。

思い込みが結論を誤誘導してしまう

十人十色という言葉がある様に、人間それぞれ個性が存在し、その個性を作り出しているのは紛れもなく幼い頃より脳裏に刻まれた思考の賜物であり、そこには「バイアス」と呼ばれる思考の偏りであったりするものが存在し、我々はそのバイアスを通じて物事を見ていたりするのです。

そして、何故を5回繰り返す段階で、このバイアスがはっきりと結論に導く過程の中に現れてきます。

例えばAという結果から何故を5回繰り返して原因追求をするワークの場合

結果がAだった

 →何故そうなった?

Bが原因だから

 →何故Bが原因なのか?

Cがアレでこーであーだから

 →何故(略

このAからBにいく段階でもう私のバイアス回路は発動しています。

バイアス=思い込み。

AからBに至る時点で私の出した結論は、私のバイアス回路を通した結論であり、当たり前ですが他の人が同じ様に原因を考えても違う結論になってしまうのです。

つまりこのフローで出てくる答えの数々は私の「思い込みの結晶」であり、各段階にそれが現れる物だから本質原因とはだいぶズレた着地点になるのも当たり前です。

これももしかしたら自分の思い込みなのではないのか、これも多分思い込み、各段階で現れる分析に使った自分の思考を思い返してみると、確かに

ニート君
ニート君

いや、それお前だけが考えている常識かも知れんし

ニート君
ニート君

誰がそんな事言った?思い込みじゃないのか?

ニート君
ニート君

それは本当にそうなのか?

と思うようなところが多数出てきます。

一つ一つの思考を疑い出せばキリがないのですが、少なくとも疑ってみることで

あ、違う考え方もあるかも

何故こんな事考えてた??

などと思考の幅が広がったり、思い込みが解きほぐれてきたりといい影響を与えてくれそうです。

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まとめ

何故を5回繰り返す作業は、自分の思考の癖を知る作業
深く掘り下げるとその分思考の偏りが反映されたものになる

何故を5回繰り返す、という思考ツールは一見原因追求には有用ですが、そこには必ずバイアス(思い込み)が入ってくるという事、そして各段階でそれが働くため、出てきた結論が明後日の方向を向いている可能性も大いにある、という事です。

これらは1人でやっているとなかなか気付きにくい物ですが、この5段階フローを紙に書いてみたりすると意外な思い込みが作用しているのが分かるかも知れません。

若しくは親しい人と一緒に同じ課題をやってみるとまた新たな発見が見つかったり、その人の思考の偏りなんかが見えて面白いかもしれません。

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