心理的バイアス、日本では「思い込み」の名称で知られているこの単語。この思い込みは我々の人生を左右し、人格を形成し、時には命の危機にまでさらされる程厄介な物ですが、あまりその影響を重要視している人はいません。思い込みが人生に与える影響と、お笑い芸人「ぺこぱ」さんのツッコミワードで思い込みを解除していく方法を書いてみます。
思い込み(バイアス)とはなんぞや
私たちは今までの人生のほぼすべての思考が思い込みの組み立てで成り立っています。
そして、思い込みによって現在の私たちは作られています。
思い込みがあると、物の見方が固定化されます。過去の記憶・経験から自分の常態化した思考となり、ある種のフィルター回路が形成され、物を見るときにこのフィルターを通過します。
通過した結果、そのものをどう捉えるかが決まってきます。
そしてそれらの大半は、幼少期に作られた物が多く、修正しようとも思わないほど長い年月をかけ凝り固まって、そして今の自分を作っているベースにもなっている思考です。
これらの物をバイアスと呼んだりします。
よく聞くものに「正常性バイアス」というのがあります。
これは311の東日本大震災の時によく見られたらしいです。
自治体が「津波が来ます!避難してください!」と広域放送でいくら叫んでも「今まで大丈夫だったから」「津波なんて来た事無いから」「自分だけは大丈夫」と逃げなかった方が大勢いて、津波に飲み込まれていったとの事です。
このように思い込みは自分の人生の通り道を作ったり、時には生命の危険を作り出してしまう事もあります。
有効に使う事が出来れば、人生を変えることも可能です。しかしそれにはまず、自分の凝り固まった思い込みを外す事から始めなければなりません。
思い込みと人生の損
こんな言葉を誰かから言われたりしたことはないでしょうか?
または自分でそれが普通だと思ってた事はないでしょうか?
- 「いい大学出て30までに結婚とマイホームを建てて幸せな人生を送る」
- 「国家公務員が一番安定してるから公務員目指せ」
- 「一部上場企業に入れれば人生勝ち組確定」
- 「社会人になって一台目の車は軽で十分」
- 「×1なんかと結婚したらダメだよ!」
- 「高校で髪染めてる奴は大体底辺」
これらはいずれも私が聞いたり、はては自分の親や先生、友人からしつこい位に言われていたことです。
当時は「本当か?」なんて疑う事もなく、「そんなもんなのか」と人の常識と呼ばれるものを無条件に受け入れ続け、意識はしていないのだけれど自分の信念というものに変わり、それに沿った行動をしていく・・という人生を歩んでいました。
その常識とやらが正しいか間違っているか、そんな判断もしようと思いませんでした。
そして自分が先輩や人の親になった時に「常識だよ」と伝えていく。
こんな事を何百年も我々は繰り返してきたのです。
そもそも一部上場勤め=勝ち組ってどこの誰が言い出した「常識」なんだろう?
こういうどうしようもない思い込みに固められたのが我々の人生。
もしかして今まで、誰かの無責任な思い込みを植え付けられ、それが正義と信じ、時には自分で要らん方向に解釈を捻じ曲げ、間違った人生を歩んできたのではないのか?
ならばこの思い込み、間違った常識を疑う事から始めるべきではないのか?と考えてみました。
そんなことを考え続けたある日、Amazonプライムで初めてぺこぱのネタを見たのでした。
ぺこぱの第一印象
「どうも~ロンリネス×2 フォレの名は松陰寺太勇だヒュ~ そしてこちらは!」
「どうも~しゅうぺいで~す おねがいしま~す」
2019年のM-1で大ブレイクした2人組、ぺこぱ。松陰寺さんの奇抜なメイクに嫌悪感を示す人もいるみたいですが、私はしゅうぺいさんの方が苦手でした。
お笑い動画に出てきた時は「何か生理的に受け付けないな」とネタを見ずに他の動画に移動したこともあります。
しかし2019のM-1は衝撃的でした。王者のミルクボーイ、準優勝のかまいたち、そしてぺこぱと、本選、決勝と3組ともハズレ無しのネタで決勝中笑い続けてたのを覚えています。
正直言って面白過ぎた。お笑い芸人の食わず嫌いも直していかなければと反省。
そしてこのぺこぱ松陰寺さんの発するツッコミワードが、私の思い込みを外してくれるトリガーになっていくのです。
その1.そう思っているのは俺だけなのかも知れない
松陰寺さんが発するこのツッコミワード、最初は笑いながら聞いていたのですが、実はこのワードってものすごいワードなのではないでしょうか?
自分の凝り固まった「常識」を違う角度から見れる、また新しい発見を生んでくれる非常に有能なワードだと思っています。
「モテないのは顔が悪いからだ。努力では無理」
→そう思っているのは俺だけなのかもしれない
「給料低いのは会社が悪い」
→そう思っているのは俺だけなのかもしれない
「うちは貧乏だから何も出来ない」
→そう思っているのは俺だけなのかもしれない
「渋滞の先頭は大体軽トラかプリウス」
→そう思ってるのは俺だけなのかもしれない。いや多分俺だけ
この自分が〇〇は△△だからダメとか、
〇〇が無ければ△△が出来ないとか、
自分が常識だと思っていた事すべてこのツッコミワードで一度包み、
- 「ではほかに何が原因なのだろうか?」
- 「本質はどこだろう?」
- 「もしこの状況が〇〇なら△△的なアプローチがいいかも」
- 「あの時こういう思いしたからこんな固まった思考になっていたのかも」
と色々な視点から自分の常識の範囲を飛び出して行くことが出来ます。
そもそも自分では問題だとも思っていないことも、「そう思っているのは俺だけなのかもしれない」で新たな発見が出てくると思います。
自分がこれは当たり前と思っていたことは全然当たり前ではなく、常識は違う誰かの非常識だったりします。何か考えるときも常にこのツッコミワードで一度包んでみてはいかがでしょうか。
その2.〇〇とも言い切れない
これも常識を解きほぐしていくワードとして重宝できます。
「あいつはダメなやつだから」
→とも言い切れない→ではあいつは本当はどういう人だろう?
「持ち家は負債だけどアパートは負債じゃないよ」
→とも言い切れない→では負債なのか?そもそもそれは本当か?
「日経平均もダウも伸び続けているから株を買うなら今!」
→とも言い切れない→誰情報?信憑性は?来年はどうなんだ?
「有名人の〇〇が使ってるから良い品物に違いない!」
→とも言い切れない→良い品と判断できる他の情報は?
これも世間一般の常識とやらを一度やんわりと拒絶し、では真実や本質は何なのだろう?と考えさせてくれる便利なワードです。これは〇〇であるべきだ!というのは完全に思い込みに支配された状態であるので、一度このワードでリセットしてみましょう。
リセットした後、他の角度から考えてみると意外な発見が有ったり、そもそも変な思い込みだったという事に気付くかも知れません。
その3.時を戻そう
戻らないです^^
と言いたいところですが、これも間違った思い込みなのかも知れませんね。
いつかタイムマシンなんかが発明されて「時を戻そう」が常識化するかもしれません。
おわりに
30年前は人類皆スマホなんて考えられない時代ですし、一家に一台自動車なんて、昔の人からすれば想像もできない世界でしょう。そういうものを常識をぶち壊しながら発明してくれた方がいるので、我々の生活はずいぶん便利になりました。
これからの時代も「〇〇と思っているのは俺だけなのかもしれない」「〇〇とも言い切れない」という言葉で常識の枠をぶち壊す人たちが、便利な物を作っていくのでしょうね。
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