前回の記事では重度のパチンコ中毒だった私が、闇金ウシジマ君との出会いにより人生をリセットする決意をします。しかし長年の中毒症状は簡単には抜けず、私は何か方法は無いかと試行錯誤します。今回はたどりついた「簡単にやめられた方法」を記していきます。
前回の記事はこちらから
やめられなくて自分を責め続ける
前回の記事でも書きましたが、パチンコをやめると固く誓っても、せいぜい2週間くらいしか持たなかったのです。1週目は乗り切っても、2週目の週末に行ってしまう・・・
パチンコ中毒は自分が思っていたよりも重症でした。
行っては後悔と自己嫌悪を繰り返し、泣きそうになりながら自分の意志の弱さ、根性の無さを呪いました。あんなに言ったのに何故また行ってしまうのか。
パチンコに行って金が無くなり借金が減らず、激しく自分の心を責め続けて二重で苦しんでいるような日々が続きました。
それでも、真人間?になるには今しかない、もう手遅れかも知れないけれど、パチンコ中毒のまま一生を終えるのだけは勘弁。
そう思いつつ日々悶々と過ごしていました。
あるヒラメキが私を救ってくれた
そんな中、私は「必ず何か方法があるはずだ」と考えに考えました。
物理的に行けなくする方法もある、しかし我慢はいつか無理が来る、自然に離れられる方法は無い物かと毎日考えぬいて、ある事を思いついたのです。
「行ってしまう理由はもっと深い所にあるのでは?」
「それがもし脳の特性ならば利用できる方法もあるかも」
このヒラメキで私はいくつか仮説を立てて実験してみることにしました。
パチンコに行ってしまう仕組みを理解する
まず私は何故意思を強く持ってもパチンコに行ってしまうか分析しました。
意志力の問題ではなさそうだ、ならばそれに打ち勝つ脳の働きか?という事でいろいろ調べて分かったのが「脳内麻薬」「俗称:脳汁」の異名を持つ
「ドーパミン」
これの特性を調べてみることにしたのです。
ドーパミンが出る時って?
報酬を期待してしまうシステムが脳にある
私はそれまで、ドーパミン(俗称:脳汁)というのは「大当たりの時に出る物」という認識でいました。
しかしどうも違う様です。ドーパミンが分泌され受容体と結合する最も頻度が多い状態とは
「報酬が手に入ると期待する時」
らしいのです。これは全く知りませんでした。
お年玉を貰える直前、お小遣いをもらえる直前、給料日前日、明日はボーナス! こういう時です。
これをパチンコに当てはめてみると大勝が確定された時のリーチが掛かった瞬間とかになります。
大当たりの瞬間ではありません、出るかも出るかもと期待しているときです。
報酬を期待している時のドーパミンを抑えればやめられるはず・・・とは思ったのですが、前回の記事で書いたように、物理的に行くのを阻止する以外に方法は考えられませんでした。
そこで私はちょっと思考を変え、こんな方法を思いつきました。
ドーパミンを代わりの物で出してみては
お金を儲けるチャンスを得ることでドーパミンが出るのならば、お金を残し残高が増え続けることでもドーパミンが出るのでは?と言う仮説を立ててみました。
貯金通帳の残高を見てニヤニヤする人はきっとドーパミンが出ているに違いないと思ったのです。
また、報酬を期待して行ってしまうのならば、別の報酬がもらえる物で大量上書きすればパチンコに行く気持ちが薄れるはず!とこれも仮説を立てました。
要は
大当たりするかも!というあの期待の一瞬を別の物に置き換えてみよう
という事です。
こういう事は子供のうちに体験で学んでおくべき事なのですが、残念ながら私は育ちが悪いので、こう言う考えに至るまで30年以上掛かったのです。
家計簿
家計簿は効果てきめんでした。
家計簿の毎日の使用金額を見て
- 「今日は昨日より使っていない」
- 「今週土曜は1円も使わないチャレンジ!」
- 「先月比−6000円!やった!!」
などと数字を見ながら少し大袈裟に喜ぶようにしました。
勿論毎回毎回、前○比マイナスにはならないのですが、お金を使わない事で脳の快感を得るように仕向けたのです。
また、家計簿を付けることにより、今まで湯水の様に使っていたご飯代、タバコ代、ジュース代など、日々の節約にもなり一石二鳥でした。
家計簿は現在でもしっかり毎日つけています。
投資信託
そして月末に余った金は、1000円であろうと10000円であろうと、即証券口座に入金し、ETFや投資信託を購入しました。
臨時収入がある時は、躊躇せずに全額ダンクシュート。
ネット上で現在の収益が観察できるので、これもプラスの時には大げさに喜ぶように、マイナスの時には少しだけ落ち込むようにしました。
現在ではコロナで一回落ち込みましたが、その後の日本・アメリカの株高が続き、結構な額の収益が見込まれています。
・・・もっと早くやっておけよ。
パチンコ店に復讐
これもドーパミンを出すために必要でした。
私から20年以上もお金を奪って?いったパチンコ店に復讐する、これだけ聞けば物騒な感じですが、私は
「行かない事が最大の復讐」
と思い込むようにし、毎週末はパチンコ店に復讐している気分になる事にしたのです。
- 私が行かないと他の誰かから取るしかない
- 他の誰かは私のように重症じゃないはず
- 見切りをつけてあの店には2度と行かないはず
- これが1人、2人と増えれば・・・
- ザマァああああああああ
と一人で喜んでいました。正気の沙汰ではないですし、実際にそうなのかは微妙な所ですが、私のドーパミンを出すには十分でした。
毎週毎週、私はパチンコ店に勝つことに成功します。
スマホのアプリで禁パチ日数をカウントする
これは最初の数週間は効果が有ったような気がします。
一般的にアプリのカウンターというのは、未来に向けてカウントダウンしていくものですが、私の使っているアプリは過去からの経過日数も測定できるものです。
このカウンターに最後に行った日を記録、数値が伸びる度に「今日も我慢できた!」と行かなかった自分を褒めてあげます。これもドーパミンを出すのに一役買っていたようです。
最初の3~4週間超えたころから見なくなったので、気が付いてたら消していた、という状態です。
いざ実践してみると
明らかにパチンコ中毒症状が消え始めた
この様な脳からドーパミンを出す行為をパチンコから置き換えてみたところ、自分でも本当に驚きしかありませんが、あれほど狂ったように毎週通っていたパチンコに対し、なんの感情も持たなくなっていったのです。
「こんなに簡単だったんだ」
私はこの方法で間違いない、我慢では絶対に限界が来る!と確信しました。
勿論この間、出来るだけパチンコから遠ざかる、パチンコという物を意識しないようにします。
動画のお気に入りに入っていたパチンコ・パチスロ系のものは全て削除し、通勤ルートもパチンコ店から極力離れた所を通るようにしたのです。
悪友は「お前がパチンコやめたとか嘘だろ!?」と驚いていました。
5年以上経った現在では
最後に打ったのがいつだったか記憶があいまいですが、パチンコをやめてから確実に5年以上経っていると思います。
この間、私はコツコツと毎日家計簿をつけ、相変わらず「使わなかった事を喜ぶ」習慣を取り入れています。
借金は時間が掛かりましたが完済し、同時に僅かずつ積み立てていた投資信託も結構な額になりました。
何故あんなに20年近くもハマっていたのか、脳の勉強をもっと早くやっておくべきでした。
意志力が弱いと何度も自分を責め続け、強烈な後悔と自己嫌悪を繰り返していた私は
「やり方が違っていた」
だけだったのです。
パチンコ店に対しては、20年近くも私のお金を吸い続け、人生を破滅寸前まで追い込んできたはずなのに何の感情も湧きません。
憎しみとかそういうのは一切ないです。今後関わることも無いだろうという事です。本当に代償は大きすぎましたがいい経験になりました。
それよりもここまでドーパミン漬けにして人間を壊していく研究を続けているパチンコ業界には「参りました」というほかはありません。
リバウンドはあるのか?
我慢していた物から解放されると、人はリバウンドという物を起こしやすくなります。
それはダイエットなどでもお分かりの通り、欲望を押さえつけると必ず跳ね返りが来るのです。
しかし私の取ったドーパミンを利用したこの方法はどうなんでしょう?
別に我慢してやめた訳ではないので、辛いとかそういう気分を味わったことが無いのです。
でもここまで我慢できたんだから自ら進んで行く事は無いと思います。
まとめ
長いシリーズでしたが、読んでいただいた方、ありがとうございました。
また、パチンコをやめたいとこのページに飛んできた方には
- 我慢ではやめられない
- 脳の報酬系(ドーパミン)を上手く使う
- 3週間継続できればあとは習慣になる
という事を実践していただければ、自分でも不思議に思うほどすんなりやめられると思います。
現在、パチンコ店は店舗数も売り上げも減少傾向にあるというのですが、1人でも多くパチンコという物から離れられる様に、そして1店でも多く廃業するように願っています。
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