世の中が不景気になり、リストラ、人員整理が始まってくると心配性な人は「次は自分かも」と怯え出し、慌てて生活防衛策を考えるのですが、その一環として「生き延びる為に資格取得を!」という事を考える人が多いと思います。そしてこの資格をとっておけば一生困らないとか、俺は資格持ちだから優遇される!とかそのような勘違いをする人がごく稀にいるので紹介しておきます。
なんでもいいから国家資格を取ろう!?
この資格を持っていれば食いっぱぐれがない、一生食べていけるという資格は世の中にどの位あるのでしょうか?
ここでいう「食いっぱぐれがない」とは、例えば転職がスムーズにいくとか、開業後も営業活動に困る事はないとか、その資格を持っているだけで人生イージーモードの資格になります。
これらを考えると、世の中に資格保持者が溢れている物、受験人数の多い資格は自動的に外れる事になります。例えば
- 簿記検定
- FP2級
- 危険物取扱
- 宅建
- 電気工事士
これらの資格は数多くの媒体で紹介されているので、受験人数もそれなりに多く、世の中にはその業務に関係なくとも「取得済み」という方が多かったりするのです。
ここで見落としがちなのは「需要があるから人気がある」ではないのです。
はっきり言ってこれらの人気資格というのは「取りやすい」ので誰彼構わず取りに行き、直接その業務に関係ない仕事をしている人でも何故か持っているという状態になります。言い方を変えれば
「保持者がゴマンといる」
という事です。
そしてそれが転職に有利か?といえば、ゴマンといる資格保持者の中から自分だけが特別視される理由があるなら別ですが、ほとんどの人はそんな物持っていません。
つまり、人気資格は直接業務に関係ない限り取る意味ないよ、そして資格をとった後、数多くいる保持者の集団の中に飛び込んで行くようなもんだよ、という事になります。
ただし例外が有ります。多数の保持者がいるにも関わらず、自分も持っておいた方がいい資格、それは「自動車運転免許」これだけです。
一生食っていける資格はないの??
私が思うに、この様な資格は
1.資格界のカースト上位に位置する物
2.特殊な技能が必要な物
の2つしかないのでは、と思っています。
1.資格界のカースト上位に位置する物
これらの資格は難易度が非常に高く、一般人が取ろうと思っても莫大な時間を消費しなければ取得できないような物です。しかし見返りも多く、それなりの収入が期待できます。
- 医師
- 弁護士
- 弁理士
- 技術士
- 公認会計士
名前を見ただけで無理だと感じるこのあたりの資格は、大学、大学院でそれなりに勉強した人からみても難しく、到底一般人が頑張って取得しようとする類のものではありません。
2.特殊な技能が必要な物
大体この手の資格は資格取得に合わせ数年の実務経験、または専門の養成機関で数年間の研修が必要な物が多いです。テキストで数ヶ月間勉強して取って終わりの資格でもありません。
- 看護師
- 介護福祉士
- 建築設備士
- 施工管理士
- 療法士
これらの資格は上記のように数年間の経験や養成機関を経ないと取得できない資格であり、ハローワークなどを見ているといつもこの手の資格保持者の求人があります。
3.取るだけ無駄なゴミ資格
受験人数・取得人数が多い国家資格に関しては「取るだけ無駄」とは言いきれない所が有りますが、少なくともその業務に就く予定が無いのであれば他の事に時間を使えば良いかと思います。
取ったはいいけど数十年使ったことがない、なんていうのも勿体無いですし。
しかしいい面もあります。
全く未知の分野であれば、今まで気にした事もなかった方面の知識がつき、思考の幅も広がっていくことの一助になりそうで、それを狙って暇つぶしに取るのであれば挑戦もアリかな?とは思います。
転職活動の一助になることは前述の通り保持者が多すぎるのであまり期待しない方が良いかと思います。
そして転職活動の一環で何でも良いから資格を・・・!と考えいわゆる「ゴミ資格」に手を出さないようにしてください。
ここでいうゴミ資格とは民間の資格・検定など転職にはなんの役にも立たない物をいいます。
資格よりも大事なものに気付けなかった先輩
昔同じ職場にAさんという方がいました。現在は定年退職されて何をやっているかわかりませんが、彼の考え方が私には理解できなかったのでちょっと紹介しておきます。
Aさんは長年かけて難易度の高い資格に毎年挑戦していました。「毎年」と書いたのはそう、毎年受けては落ち受けては落ちを繰り返していたのです。
5年連続とかそのようなレベルではありません。私が知っているだけで10数年です。
Aさんに何故その資格に挑戦するのかを聞いた所、びっくりする様な答えが返ってきました。
この資格取れば皆の見る目も変わるよ
定年後この資格あれば食っていけるよ
ちなみにAさんの元上司と話す機会があったので聞いてみると、評価は最低ランクに近いところだったらしいです。
いわゆる職場のお荷物的な感じだったのですが、Aさんはそんな待遇から皆を見返してやろうとAさんの能力から見ると相当上のランクの資格に毎年挑戦し続けていたのでした。
結局定年までその資格を取れる事はなく、会社員生活を終わったのですが、もしAさんが資格取得に当てた膨大な時間を出世するため、スキルアップの為、性格改造のための時間に使っていたら、少なくとも今以上の評価は貰えていただろうし、人脈も築けていただろうし、定年後も人脈やスキルを利用した仕事に就けていたのかもしれません。
Aさんはいわゆる「手段の目的化」を地で行っていました。
資格取得は願望達成の為の手段であったはず、それを取得することをゴールに設定してしまっていたので、仮にAさんが無事その資格を取得した所で、身の回りの環境は何一つ変わらず、Aさん自身も変わらず、評価も変わらなかっただろうと思います。
まとめ
転職の為の資格は必要な物以外は無駄!
取ったら人生イージーモードになる資格は取るまでが超ハードモード
資格より大事な「人間力形成」
私も国家資格は多数持っていますが、いずれも仕事で持っていないとその業務に就くことすら出来ないもので、やはり取るのには苦労しました。しかし、その資格があるからこの先も安泰か?というと全くそんな事はありません。何故なら私以外の誰かがその資格を持っているから「代わりは幾らでもいるんだよ」という状態です。
結局資格は人生を保証してくれるものではないという事ですね。
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